銀行口座の明細を確認してみてください。
米国の普通預金口座の全国平均金利は0.39%です。高金利の口座でもおおむね4%が上限で、税金やインフレを考慮すると実質的な利益はさらに小さくなります。
では、世界の準備資産を管理する機関は、その資金をどう運用しているのでしょうか。
預金口座に置いているのではありません。過去10年以上に見られなかったペースで金を買っています。
変化が起きている
過去30年間の大半において、米国債は世界の中央銀行にとって「安全な」準備資産の定番でした。地味でも、換金しやすく、信頼できる資産だったのです。
その構図が変わりつつあります。
欧州中央銀行の2025年の報告によると、金はユーロを上回り、米ドルに次ぐ世界第2位の準備資産となりました。近年、中央銀行は毎年1,000トンを超える金を購入しており、前の10年間と比べて2倍以上のペースです。
別の分析では、外国の中央銀行が保有する金の合計価値が、保有する米国債の価値を1996年以来初めて上回ったとされています。
一つの銀行だけの判断ではありません。数十か国に広がり、何年も続いている動きです。
中央銀行は継続的に金を購入し、代表的な安全資産としての米国債への依存を減らしています。
それとは別に、大手機関が米国の政府債務への投資を減らしています。
中央銀行だけではない
欧州の年金基金も、保有する債券の構成を静かに見直しています。
オランダ最大の年金基金ABPは、約300万人の教員、警察官、公務員の退職資金を運用しています。昨年、わずか6か月で米国債の保有額を約290億ユーロから190億ユーロに減らしました。
米国の政府債務への投資を100億ユーロ減らしたというこの公表情報は、2026年1月にブルームバーグが報じました。
ただし、分かっていることを正確に区別する必要があります。ABPの報告は、その資金が金に向かったとは述べていません。欧州債券や他の債券投資、別の資産に振り向けられた可能性があります。
確かなのは、欧州でも特に慎重で厳しい規制を受ける年金基金の一つが、米国債を減らすと決めたことです。その判断自体に注目する価値があります。
別々の二つの兆候、共通する方向
ここには二つの異なる動きがあります。混同しないことが大切です。
- 中央銀行は継続的に金を買い、代表的な安全資産としての米国債への依存を減らしています。この数年にわたる動きは、欧州中央銀行とワールド・ゴールド・カウンシルの資料に記録されています。
- 年金基金は、それとは別に米国債への投資を減らしています。ABPがその一例です。理由のすべては公表されていませんが、一つの国の債務と一つの通貨の安定性に頼りすぎることへの懸念を反映している可能性があります。
機関も仕組みも異なりますが、動きの方向は似ています。
あなたにとっての意味
中央銀行は1年で1,000トンの金を動かせます。あなたにはできませんし、その必要もありません。
これは金を売るための問いかけではありません。金にもリスクがあります。利息は生まず、価格は下がることもあり、現物市場には買い手が気づきにくい追加費用があります。
同じ量の金を含む金貨と金地金でも、上乗せ価格は大きく違う場合があります。現物相場、販売業者の利幅、保管、買い取り条件は、確認すべき点を知らなければ分かりません。
「購入」を押すよう勧められる前に、こうした点が十分に説明されることはあまりありません。
購入する前に、何を買うのか理解する
上記の機関は、何も調べずに金へ投資したわけではありません。専門の調査チームが、保有資産、その費用、値動きの特徴を調べています。
「金は良いから買いましょう」と言われるだけでなく、仕組みをきちんと説明してもらえれば、短い時間でも多くのことを理解できます。
本ガイドは、貴金属市場の仕組み、金価格を動かす要因、上乗せ価格と売買価格差が実際の費用に与える影響を説明します。投資用の金と割高な収集品を見分け、具体的な基準で販売業者を比較するための手助けとなります。
中央銀行はすでに動いています。自分も行動するのか、するとしたらどうするのか。十分に理解したうえで決める価値があります。
← 金投資家のページに戻る